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アジア通貨危機

アジア通貨危機
経済 Night evening light architecture shot. High modern skyscrapers, international business center. Moscow City, Russia.

IMF改革と通貨危機の理論 (紙版)

IMF改革と通貨危機の理論

第3章 為替投機の理論――第一世代モデル
第1節 はじめに
第2節 第一世代モデルの概要
第3節 モデルの基本枠組みについて
第4節 図形を使った説明について
第5節 固定相場制度は維持できるか
第6節 固定相場制度崩壊のタイミング――間違った方法による推論
第7節 固定相場制度崩壊のタイミング――正しい推論
第8節 シャドウ・レートを利用した方法について
第9節 第一世代モデルの拡張
第10節 おわりに

第4章 為替投機の理論――第二世代モデル
第1節 はじめに
第2節 初期型のモデル
第3節 エスケイプ・クローズ・モデル
第4節 おわりに――複数均衡はよく起こることなのか?
補論1 Jeanne and Masson(2000)による抽象化されたモデル アジア通貨危機
補論2 サンスポット均衡(sunspot equilibria)

第5章 バランスシートモデル,伝染の理論,そして群衆行動の理論
第1節 はじめに
第2節 バランスシートモデルの登場
第3節 バランスシートモデル
第4節 伝染の理論
第5節 群衆行動の理論
第6節 おわりに

第6章 IMFの役割・機能
第1節 IMF,世界銀行,WTO(GATT)――戦後世界の経済体制を支える機関
第2節 アジア通貨危機 IMF設立の目的(IMF協定第1 条より)
第3節 IMF協定の義務履行を通じての目的達成
第4節 IMFの三大業務――融資,政策監視,技術支援
第5節 クォータとは何か
第6節 IMFのガバナンス アジア通貨危機 アジア通貨危機
第7節 IMF融資の概要(2008 年頃までの状況)
第8節 コンディショナリティの種類
第9節 主なIMF融資制度
第10節 IMF改革と日本
第11節 SDRについて
第12節 MDGs,HIPC イニシアチブ,MDRI とIMF
第13節 アジア通貨危機 世銀との比較
第14節 おわりに

第7章 IMFへの批判
第1節 はじめに
第2節 融資条件(コンディショナリティ)の数や種類に関する批判
第3節 融資条件において財政・金融の緊縮策を条件とすることへの批判
第4節 画一的な対応についての批判
第5節 政治過程についての無理解
第6節 先進国の利益を重視し開発途上国の利益を軽視
第7節 モラル・ハザード
第8節 IMF融資と経済成長――IMFプログラムは成長を阻害したか?
第9節 おわりに

第8章 マクロ経済学の観点から見たIMFプログラムの問題点
第1節 はじめに
第2節 国際収支危機への対応方法
第3節 フィナンシャル・プログラミング
第4節 高金利政策批判
第5節 おわりに

第9章 地域金融協力とIMF
第1節 東アジアの地域金融協力
第2節 地域金融協力の存在意義
第3節 地域金融協力とIMF
第4節 欧州版IMF構想
第5節 おわりに

第10章 IMF改革の評価
第1節 近年におけるIMFプログラムに関わる制度変更
第2節 むすびに代えて――IMF改革の評価

終章 アジア通貨危機が残したもの
第1節 本書のまとめ
第2節 新たな展開――ユーロ危機と通貨危機の理論,そしてIMF
第3節 おわりに――柔軟な思考と対応の必要性について

著者略歴
1963 年生まれ.1993 年,京都大学経済学研究科博士後期課程単位取得満期退学.
同年,アジア経済研究所研究員.2003~2004年,国際通貨基金(IMF)客員研究員.
2004~2005 年,ジョージ・ワシントン大学シグール・センター客員研究員.
2008 年,京都大学博士(経済学).2012 年,近畿大学経済学部教授.
専門分野:開発経済学,マクロ経済学,国際金融論
最近の主要著書:『グローバル金融危機と途上国経済の政策対応』(編著,アジア経済研究所,2013 アジア通貨危機 年),
『国際資金移動と東アジア新興国の経済構造変化』(編著,アジア経済研究所,2011 年),
『岐路に立つIMF-改革の課題, 地域金融協力との関係』(編著,アジア経済研究所,2009 年),
Overcoming アジア通貨危機 Asia’s Currency and Financial Crises: A Theoretical Investigation, Institute of アジア通貨危機 Developing Economics, 2004

アジア通貨危機

グローバルに通用するCFOが求められている【連載第2回】~アジア通貨危機格闘記~

韓国通貨危機の概要

図表1

韓国ウォンは、図表のとおり、800ウォン/米ドルだった為替レートが、一挙に2400ウォン/米ドルまで、急落しました。
当時、筆者はある米国企業の日本法人と韓国法人のCFOを兼務していました。 米国本社から製品を100%輸入して、韓国国内で販売している販社機能しかない韓国法人の今後の業績は、仕入れ単価が3倍に跳ね上がるために、予想もつかないものでした。

また、多くの企業が倒産したり、経営状況が相当厳しくなり、韓国経済は不況のどん底に突き落とされました。
その後、国際通貨基金(IMF)が、経済支援を始めたのですが、ソウル市内の多くの食堂では、「IMF定食」というメニューがかなりはやりました。
その心は、“I’m fired”、「私はクビにされた」という、国際通貨基金と語呂合わせをした、ブラックジョークが、街の定食屋さんのメニューにも、ここかしこに見られたのです。

筆者が直面した銀行からの貸しはがし

当時、日本と韓国の現地法人のCFOを兼務しており、毎月第3週をソウルに出張ベースで仕事をしていました。
通貨危機が始まって数か月経ったころ、韓国の経理マネージャーから連絡が入りました。 「融資を受けている米国銀行のソウル支店から、次の期限で更新をしない」と。
私は何かの間違いだろうと、何度も確認をしましたが、そのマネージャーは、間違いはない。そう言ってきたことに間違いはないと、言いきります。

米国本社のトレジャラー(執行役員で、資金管理のトップ)にも、直接電話で質問しました。
その米国銀行とは、どういう取引状況か?
韓国では、融資を更新しないと一方的に言ってきているが、本店は認識しているのか? 仮に事実だとして、交渉の余地はあるのか?
トレジャラーは、寝耳に水の情報だったようで、アメリカではまったく取引に問題はなく、担当のアカウントオフィサーは、積極的に取引拡大をしたいと考えていると、聞いているとのことでした。
案の定、トレジャラーが確認した後の、その米銀本店からの返事も、韓国で起こっていることは、びっくりしているとのことでした。

その連絡を受けたのが、第2週だったので、翌週の韓国での予定は、この融資継続の交渉を優先順位トップにして韓国に赴きました。
米銀のソウル支店に到着して、挨拶をする間もなく、担当者が言います。
「申し訳ないですが、融資を継続することはできません。次の期日で全額返済をお願いします」。
取り付く島もないとは、このことです。

私は、本社のトレジャラー経由、本店の意向も確認してきたこと、韓国ウォン為替の急落で、輸入コストが大幅に跳ね上がり、運転資金ニーズが高まっていること等を伝えましたが、彼らの回答は以下のものでした。
「米国サイドがどう言おうと、アジアの責任者は、アセット(融資残高)を減らせと命令している」と。
確かに、どうなるかわからない経済状況で、融資残高というリスクを削減するのは金融機関としては、当然考えることでしょう。
私は、「わかった、段取りについては、後日連絡する」と、話しても埒が明かないことが分かったために、米銀のソウル支店を後にしました。
そこからが大変です。

付き合いのあった、他の米銀、邦銀等に掛け合いましたが、どこもウォンで融資をしてくれる銀行はありません。金利の高低の交渉ではなく、まず、韓国ウォンで資金を出せないと。
ある邦銀は、相当検討してくれて、私の会社の日本法人に円で融資をすることはできます。日本法人から日本円をウォンに変えて、融資をされては如何でしょうか?と提案をしてくれました。
しかしながら、当時の韓国の外為規制は、韓国外でウォンの調達を禁止していました。 成田空港でも、ウォンの両替はできずに、金浦空港に到着してから両替をしていました。

起死回生のアイデア

その夜、フッと、突然ひらめいたアイデアがありました。
米国本社に増資をしてもらうという案です。
アジアの夜は、アメリカは日中ですので、即座に、トレジャラーに直接電話をして、増資の可否について相談しました。
おおよそのバランスシートの状況、当面必要な運転資金、米銀に対する返済資金等、韓国法人にとっては大きな金額も、本社では対応できる金額です。

米ドル建てで、資金ニーズとタイミングを話して、トレジャラーには対応の方向性についての合意を得られました
。 で、私の質問。
「次のOfficers Meetingの議題の締め切りはいつだっけ?」
「先週末に終わった」。
トレジャラーが、たまたまその時点での議題のとりまとめ部署の責任者であったため、答えは早かったのですが、先週末。
そこで、早急に稟議をあげるので、滑り込ませてほしいと頼んだところ、CFOにも口頭で了解をとってもらい、議案に採用され、執行機関であるオフィサーズ ミーティング、承認を得ることができました。

実行上の大きな障害

韓国での登記は、使用する通貨は韓国ウォンです。
しかしながら、韓国外であるアメリカからは、ウォンでの送金は、外為法の規制でできないことに変わりはありません。
ここでの障害は、米国本社は、何米ドル送金するかでした。
韓国ウォン換算後、1ウォン欠けても、増資できません。

逆の立場で、いくら為替レートが乱高下しているとはいえ、ギリギリの線を狙ってきてオペレーションを行おうとします。
1週間の日中は、ソウルで法律事務所、会計事務所、銀行等と折衝を行い、夜はアメリカと調整、確認をしていた週だったので、相当疲れていました。
最後の金曜の夜であり、送金実施日の前週でしたが、電話会議があり、送金金額の詰めをした際に、とうとう「少し多めに送金するから、余ったら、おまえ取っとけ!」と冗談ですが、言ってもらい、無事想定増資金額に欠けることなく、無事、増資が完了しました。

この一連の危機対応を通じた学びについて

まず、多くの社内外の関係者の方々に、お世話になりました。
自分ひとりでは、何もできなかったと、今も振り返って、痛切に感じます。 しかし、黙っていては、誰も助けてはくれないので、フェアーに、ファクト(事実)をつかんで、適切にアピール、応援の依頼をすることも重要だったと思います。

上記のような通貨危機の前から、韓国法人での採用面接を行っていました。
面接を実施した応募者の約10人に一人が、「なぜ、米国企業の韓国法人の採用面接に、日本人が面接をしているのか?」と、ストレートに質問を受けていました。
英語での面接で、少なくとも、一定レベル以上の優秀な候補者たちでしたが、このような質問を受けました。
事の良し悪し、是非はともかく、事実としてこのような感情をもっていらっしゃる方がおられます。

日本企業の在外子会社に赴任されている方々が、大変ご苦労されておられるかと思いますが、誰かが作った「教科書的正解」を追い求めるだけではなく、顔の見える、自分にはこれしかできないと、腹をくくって対応してみることで、活路が開けたりするのではないでしょうか?
英語も得意ではなく、帰国子女のみなさんには到底かなわない、レベルの低さではありますが、なんとか、目先の問題を解決しようとして取り組んで、経験させていただいた内容を元に、次号以降も、お伝えできればと思っております。
読者の皆様のご参考に、少しでもなれば、幸いに存じます。

漫画_世界で闘う準備はあるか

伊藤 雅彦 氏

伊藤 雅彦 氏 株式会社デルタウィンCFOパートナーズ
代表取締役社長
複数の米国企業の日本法人、韓国法人のCFOを務めた後、コンサルティング業界に移り、アーンストアンドヤングアドバイザリー株式会社でシニアパートナー、アーンストアンドヤングのアドバイザリー部門で業績改善プラクティスの日本エリアリーダーを務める。2013年より現職。
企業の財務管理機能強化を支援すべく、企業向け研修、CFO人材紹介、財務コンサルティング、個人向けCFO錬成道場等を提供している。 http://www.deltawin.com/

【初めての方でも大丈夫】アジア通貨危機と輸出入の関係

アジア通貨危機 make it borderless.”という企業理念のもと、市川俊介(CEO)と内山光(CTO)が創業したグルメ・ビューティープラットフォーム
サービスを創業から僅か半年でミャンマー国内ダウンロード数、MAU数でNo.1を達成。
AIの活用、実名制によるSNS機能、多言語機能が特徴。
2019年には「The Internet Conference」の選ぶ「Top 50 Tech Companies Award」をドバイで受賞。
現在、加速度的にプラットフォームを拡張し続け、スーパーアプリとして成長を続け、幅広いサービスを提供。

GPCはシンガポールにて東南アジア進出専門コンサルティングサービスを10年提供。GPCの提供するMelo!(メロ) アジア通貨危機
(「日本のいいモノ」が集まるシンガポールのテスト販売ショップ)は「高コスト&不透明」であった海外進出を
「とにかくシンプル」にすることを目的としており、オフとオン(TripleOne Somersetショッピングモール1階の実店舗と
シンガポール大手ECプラットフォームLAZADAモール)でのテスト販売サポートを提供。

GoGlobalのビジョンは、海外進出のあり方を変えることで、誰もが国境に関わりなくどこでも事業を展開できる世界をつくること。
GoGlobalは現地事業の管理に伴う負担を引き受けることで、クライアントが事業の成長に全力を注げるよう支援。
海外進出はもっとシンプルに出来る。まるで「国内に進出するのと同じように海外に進出する」サポートを提供。

日本企業が海外・外国人向けにビジネスをする時、生活・商習慣・物価・気候などの要因から国内向けの考え方や手法が通用しない
ケースに対し、外国人目線とマーケター目線を持ったバイリンガルメンバーが日本企業のグローバルでの成功をサポート。
マーケティング・セミナーにも注力した幅広いエリアサポートを提供。

海外をステージと考えるお客様、そしてそのお客様のご家族に暮らしに豊かなライフプランをオーダーメイドで提案する生活設計
コンサルティングサービスが強み。
各国のビザサポートをはじめとした海外生活のトータルサポートを提供。

ベトナム・ホーチミンを活動拠点としているiCRAFTはベトナムでの日系企業・ローカル企業との連携に長けており、
ベトナム現地のリアルな情勢を基にした進出前のサポートも充実。複数のライセンスを取得しており、人材紹介から営業支援、
輸出入・貿易から不動産仲介、会計経理・税務、マーケティングまでをワンストップで提供。

海外展開にあたって必要な現地のリアルな情報にタイムリーにたどり着き、
データを活用したその後の海外展開までワンストップでサポート、それが「HELP YOU+ 海外進出サポート」。
海外進出におけるフィジビリティ・スタディ、そしてマーケティングサポートを提供。

有研グループは昭和2年設立、香港に国際資格HOKLAS/ISO17025取得の自社検査室を保有する日系唯一の検査専門会社。
海外で飲食店、食品製造の経営をされるなら国際社会で通用する「食中毒のリスク管理、対策」として、
現場の衛生点検、各種衛生検査、従業員様の衛生教育など海外店舗の「食中毒のリスク管理、対策」が必要。
世界各国に進出されている食品関連企業様の食中毒予防、食品事故発生時の対応アドバイス、衛生管理に関するご相談など
「安全で安心な食品」の為のサポートを提供。

中国へ情報発信が可能となるプラットフォーム「PANDA」。
中国人富裕層に特化した越境ECや、他ではできないコスパ最強のプロモーション、成果報酬制のSEO対策など、
オンライン施策に長けたサポートを提供。

【アジア通貨危機とは】政治・経済の両面からわかりやすく解説

アジア通貨危機とは

まだ発展途上の国の場合、自国の国内の企業や個人の力だけでは経済成長が難しく、外国からの投資が欲しい場合があります。その場合、為替レートが安定すれば、外国の企業にとってはその国に投資しやすくなるため、ドルペッグ制を採用するメリットが大きいのです。 (逆に、為替レートが不安定な国に投資すると、為替レートの変動によって投資した資産が大きく目減りしてしまう可能性があるため、投資家は「投資しよう」と思えなくなります。)

1-1-2:輸出型の貿易構造

上記の例からも分かるように、 輸出が経済成長の原動力になっている国にとって、自国通貨が安く維持されていることは大事なこと アジア通貨危機 なのです。

1-1-3:通貨の評価のずれ

しかし、90年代に入るとより安い中国を「工場」にしようと考え、日本や欧米の企業は東南アジアから中国へ生産拠点を移し始めました。そのため、東南アジアに投資していた投資家たちは「東南アジアにこのまま投資していて大丈夫かな?」と不安を抱くようになっていました。

さらに、1995年以降アメリカは「ドル高」政策を採用するようになります。

1-2:アジア通貨危機の原因

そもそも ヘッジファンド とは、何億、何十億というお金を持っている資産家からお金を集め、それを超エリートの投資家がまとめて運用して増やし、資産家に増やしたお金を返す、というビジネスを行う機関投資家のことです。

個人が海外旅行で通貨を交換するくらいでは通貨の変動はほとんどありません。しかし、これを巨大な規模で行うと為替相場が変動します。

アジア通貨危機時にヘッジファンドが行ったのは、 「空売り」 という行為です。

「空売り」というのは、 いろいろな所から通貨を借りてきてそれを売ってしまう ということです。

  • マーケットで借りたバーツを売りまくって相場をバーツ安に誘導する
  • 他の投資家も損したくないため、一緒にバーツを売ってさらにバーツ安になる
  • 相場が下がり切った(バーツ安の底まで来た)と思ったところで売りをやめ、売ったバーツを買い戻す

バーツはもともと買ってきたものですから、借りてきた銀行等に返さなければなりません。そのため最後に買い戻すのですが、 「高い所で売って安い所で買い戻している」ため、ヘッジファンドは大儲けできる のです。

米財務省がロシアへの特例打ち切り発表、ロシアの選択肢は?

経済 Night evening light architecture shot. High modern skyscrapers, international business center. Moscow City, Russia.

ただし、月内は回避されそうです。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙によれば、ロシア財務省はクーポン支払いの資金をロシア連邦証券保管振替機関(NSD)に移したと発表、NSDは2026年5月償還債のクーポン7,125万ドル(ユーロ、ポンド、スイスフランでの支払いが可能)と、36年5月償還債のクーポン2,650万ユーロ(ドル、ポンド、フラン、ルーブルでの支払いが可能)に対応する見通しです。なお、代替通貨への支払い変更は、ロシア政府が制御不能な理由で当初の通貨での支払いが不可能となった場合に限り、認められているそうです。

チャート:ロシアの元本・利払いスケジュール、9月は3.6億ドルの元本支払いもあり7億ドル超え

0rs

(作成:My アジア通貨危機 Big Apple NY)

①格付け機関が認定(ただし、対ロ経済制裁で認定が困難)
②クレジット・デリバティブ決定委員会による認定(デフォルトの保険、クレジット・デフォルト・スワップの補償金支払いの決定に必要)
③既発債の債権者の25%の同意に基づく、ロシアのデフォルト宣言
④デフォルト認定まで、最長30日の猶予あり

この中で、注目は③。ブルームバーグがロシア大手証券ITIキャピタルへの取材を通じ、ロシア国債保有者の大半は欧州でこの条件を満たさないと伝えています。前述の”制御不能な理由でルーブルでの支払いが可能なケースを想定しているためでしょう。実際、ロシアのシルアノフ外相は引き続きルーブルでの支払う可能性に言及しています。

①ロシア政府による訴訟

→シルアノフ財務相が警告したように、ロシア政府は支払いの意思と資金があったにも関わらず、米国による経済金融制裁により阻止されたとして訴訟を起こすシナリオが考えられよう。バージニア大学教授によると、国債の発行やデフォルトに関する要件で英国法に依拠することが多く、外部の不可抗力によって債務を履行できない場合は、借り手が自己防衛することができ、裁判所は支払いを延期することができるという。ただし、このような訴訟を西側諸国がすんなり認めるとは想定しづらく、泥仕合いとなりうる。

②ロシアと中国を始めとした対ロ制裁に与しない各国との接近

→米欧を始め西側での市場を通じた資金調達が不可となるが、ベネズエラのケースを踏まえればロシアは対ロ制裁を科していない中国を始めとした各国から借り入れが可能となりうる。ただし、その際にエネルギー輸出価格の引き下げなどロシアに不利な交換条件が求められうる。

③エネルギー輸出で得た収入で、デフォルト認定されていない国債の買い戻し

→ロシアは、2022年にエネルギー関連で得られる約3,200億ドルの収入を活用し、ロシア国債の買い戻しに動く場合も。ロシア債が下落したほか、ルーブルもウクライナ侵攻前の水準へ回復している。実際にロシア財務省は3月末、4月4日を元本償還期限とする20億ドルのドル建て国債をめぐり、14億4,760万ドル(72%)相当をルーブルで買い戻した。国内投資家へ配慮したほか、ドル温存の手段として有用と判断されたもよう。

編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW アジア通貨危機 YORK –」2022年5月27日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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