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スポットの定義

スポットの定義
出典: 国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子医薬部ホームページ

UCIeに秘められたIntelプラットフォームモデルの狙いとは

半導体業界やIT業界を代表する企業10社が公開した「Universal Chiplet Interconnect Express(UCIe) 1.0」は、半導体パッケージの内部で複数の小さなチップ(チップレット)の間をつなぐ技術標準である。そんな説明を聞いただけでは、数多(あまた)あるインターフェース系の技術標準のうちの一つにすぎないと見えるかもしれない。しかし、UCIeは、いまやあらゆる業界のビジネスの現在と未来に多大な影響を及ぼす戦略物資となった半導体の、進化の基軸から開発・製造の手法、関連企業のビジネスモデル、さらには産業構造まで一変させる破壊力と創造力を秘めた標準に育つ可能性がある。

情報処理の世界では、米IBMが1980年代初めに開発した小型コンピューター「IBM PC AT」の技術仕様が業界標準化し、「PC/AT互換機」が現在のパソコン業界のすべてを生み出す源流となった。これにより、巨大コンピューターではなく、小型PCの進化とその組み合わせで多様な情報処理システムが作られるようになった。同様の大きな変革が、半導体業界で、UCIeを源流として起きつつあるのかもしれない。

昭和59年東京大学工学部精密機械工学科卒業。昭和61年東京大学大学院工学系研究科精密工学専攻修了。同年 野村総合研究所入社、主任研究員。欧州系証券会社シニアアナリスト、JPモルガン証券で日本株部門を立ち上げ、マネージングディレクター株式調査部長、みずほ証券でもヘッドオブリサーチ・チーフアナリストを歴任。日本経済新聞などの人気アナリストランキングで電機部門1位5回など。平成17年に、日本株投資運用会社のヘッジファンドを共同設立、最高運用責任者、代表取締役、10年の運用者としての実績は年率9.4%、シャープレシオ0.9、ソルチノレシオ2.1。この間、東京理科大学大学院非常勤講師(平成19~21年)、一般社団法人旧半導体産業研究所諮問委員など。平成26年サークルクロスコーポレーション設立、代表取締役。平成29年より、ファウンダー非常勤役員。平成29年より、東京理科大学イノベーション研究科教授。平成30年より現職(MOT)。現在、経済産業省の半導体デジタル産業戦略検討会議のメンバー、JEITA 半導体部会 政策提言タスクフォース 座長を務める。著書に『経営重心』(幻冬舎)、『日本の電機産業はこうやって甦る』(洋泉社)、『日本の電機産業に未来はあるのか』(洋泉社)、『ヘッジファンドの真実』(洋泉社)など。

UCIeのコンソーシアムは、台湾ASE、米AMD、英Arm(アーム)、米Google(グーグル)、米Intel(インテル)、米Meta Platforms(メタ・プラットフォームズ)、米Microsoft(マイクロソフト)、米Qualcomm(クアルコム)、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)、台湾TSMC(台湾積体電路製造)という、半導体のIDMメーカー、ファブレス/ファウンドリー、半導体後工程受託企業(Outsourced Semiconductor Assembly & Test:OSA技術仕様T)だけでなく、米Apple(アップル)と米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)を除くGAFAMの3社を含めた10社による推進団体として設立された。そして、最初のとして「UCIe 1.0」を発表した。日本では、TSMCも参加した3Dパッケージプロジェクトが始まり、先進的な後工程技術の開発が盛り上がっていたタイミングなのだが、UCIeには、日本企業が全く入っていない。どうして、この動きを察知せず、参加しなかったのかとショックを受け、してやられたと思ったのが第一印象だ。

チップレットは、学会などでも、ここ数年盛り上がりを見せていた。日本でも2018年から2019年頃には注目され、2021年には新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)で、3Dパッケージがプロジェクトにもなった。2020年頃からは、半導体のデバイス技術とプロセス技術に関する世界最大の国際学会であるIEDM2020や、2021年のプロセッサー関連の国際学会Hot Chips 2021でも話題となった。米国防総省高等研究計画局(DARPA)でも、2017年に15億米ドルを投じ、Electronics Resurgence Initiative (ERI)でプロジェクトを始めている。チップレットとは呼ばれていなかったものの、TSMCは、2011年からCoWoS、InFOなどの技術を導入。既に多くのFPGAやGPUの製造に適用してきた。

UCIeは、Intelによって開発され、2020年にオープンとなったAdvanced Interface Busをベースに策定された。UCIeという名称からして、プリント配線基板(PCB)の入出力規格であるPCle(Peripheral Component Interconnect Express)を意識していることは明らかである。これまでは、PCBの上で、CPUやメモリーなどの半導体が、プロトコルやインターフェースのPCIe規格を介してデータをやり取りしてきた。UCIe 1.0では、それまで、PCB上で提供された配線が、チップ(ダイ)ベースで、超低レイテンシー、高コスト効率、低消費電力、広帯域幅で提供される。チップサイズの大型化や微細加工技術限界の中で、歩留まり向上にもプラスである。PCBの機能がチップ内蔵になるのなら、こうしたIntelが得意とする標準化に動きだすのは当然である。

このUCIeによりチップレット標準化が進むと、半導体業界は、More Mooreに沿った進化から、More than Mooreの進化へと一気に進む。換言すれば、Intelが言うように、Mooreの法則は、新たな発展で永遠のものになったということかもしれない。これまでの「平面での微細化が1.5年で2倍(近年では2年で2倍)」から「体積接続密度が年率2倍」という新法則/ロードマップが登場するだろう。関連して期待されるKPI(重要業績評価指標)は、(1)消費電力、(2)レイテンシー、(3)帯域幅、(4)コスト、(5)チップサイズやコア数、さらに、これまでのMooreの法則のロードマップと異なり、カーボンニュートラルの中で、消費電力を含めた他のKPIとの組み合わせなどが出てくるだろう。

チップレットが招く半導体業界の大変革

チップレットに関して、業界への影響について考察された例はまだ少ないようである。考えられる最大の変化は、短TAT(Turn Around Time)も含めた製造工程の一新、前工程と後工程、さらにはEMSが担うプリント基板実装工程も含めた大変革である。それが、デバイスメーカー、装置メーカー、材料メーカー、OSAT、EMSも含めた関連各社のビジネス競争力に影響を及ぼすだろう( 表1 )。

2021年 日本の広告費

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株式会社電通(本社:東京都港区、社長:榑谷 典洋)は本日、日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2021年 日本の広告費」を発表した。2021年(1~12月)日本の総広告費は、2020年から続く新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響が下半期にかけて緩和したことに加え、社会のデジタル化が進む中、好調なインターネット広告費の成長に支えられ、通年で二桁増の6兆7,998億円(前年比110.4%)となった。

図表1 日本の総広告費の推移

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(注)2019年からは、日本の広告費に「物販系ECプラットフォーム広告費」と「イベント領域」を追加、広告市場の推定を行っている。2018年以前の遡及修正は行っていない。

<2021年 日本の広告費の概況>
◆2021年の総広告費は、通年で6兆7,998億円(前年比110.4%)となった。上半期は、感染拡大に伴う緊急事態宣言・まん延防止等重点措置などに伴い、前年同様に新型コロナの影響を大きく受けた。下半期には、コロナ禍からの回復に伴う景況感や消費者心理の改善に伴い、テレビメディア広告費が回復し、インターネット広告費の成長が加速したことが広告市場の成長へつながった。また、「第32回オリンピック競技大会(2020/東京)」「東京2020パラリンピック競技大会」(以下、東京2020オリンピック・パラリンピック)が広告需要を後押しした。10月以降は、音楽・スポーツイベントやテーマパークなどで徐々に入場制限が解除され、人流や経済が戻ってきたことを受け、多くの広告媒体で回復が鮮明になった。リアルとオンラインをハイブリッドしたイベントも徐々に増加し、リアルイベント自体も感染対策を施される中で開催されるようになった。中でも大型のスポーツイベントの開催は、明るい兆しをもたらした。

<媒体別広告費の概況>
「日本の広告費」は、(1)マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合算、それぞれの広告費には制作費も含まれている)、(2)インターネット広告費(媒体費、物販系ECプラットフォーム広告費、制作費の合算)、(3)プロモーションメディア広告費(屋外、交通、折込、DM<ダイレクト・メール>、フリーペーパー、POP、イベント・展示・映像ほかの合算)に大きく3分類される。2021年の総広告費は、回復傾向のマスコミ四媒体広告費と好調なインターネット広告費がけん引し、大幅な増加となった。

(1)マスコミ四媒体広告費 2兆4,538億円(前年比108.9%)
コロナ禍からの市況の回復により、「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」のすべてが増加した。特に「テレビメディア広告費」においては、巣ごもり・在宅需要なども影響し、前年比で二桁増となった。

(2)インターネット広告費 2兆7,052億円(前年比121.4%)
社会の急速なデジタル化を背景に、前年比121.4%の成長となった。総広告費における「インターネット広告費」の構成比は39.8%となり、インターネット広告費が初めて推定された1996年実績以来、初めてマスコミ四媒体広告費を上回った。また、「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」は、2018年の実績推定の開始以来、高い成長を遂げ、わずか3年で1,000億円を超えた。中でもコネクテッドTV ※1 への成長の期待が高まる「テレビメディア関連動画広告」が、249億円(前年比146.5%)と大きく伸長した。また、「物販系ECプラットフォーム広告費 ※2 」も巣ごもり・在宅需要の拡大に伴い、1,631億円(同123.5%)となった。
※1 インターネット回線へ接続されたテレビ端末。
※2 「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」とは、生活家電・雑貨、書籍、衣類、事務用品などの物品販売を行うEC(電子商取引)プラットフォーム(これを「物販系ECプラットフォーム」と呼ぶ)上において、当該プラットフォームへ"出店"を行っている事業者(これを「店舗あり事業者」と呼ぶ)が当該プラットフォーム内に投下した広告費と定義。より広い意味での「EC領域での販売促進を図るインターネット広告費」全体を指すわけではない。

(3)プロモーションメディア広告費 1兆6,408億円(前年比97.9%)
東京2020オリンピック・パラリンピックの開催をはじめ、各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンも徐々に再開されたものの、新型コロナの影響は大きく、通年では減少した。ただし、厳しい中でも、大型で目立つデジタルサイネージなどインパクトがあるOOHの活用が進んだ「屋外」や巣ごもり・在宅需要などを取り込んだ「折込」「DM」は増加となった。

図表2 スポットの定義 媒体別広告費<2019年~2021年>

図2_0222.png

<媒体別広告費詳細>
(1)マスコミ四媒体広告費(業種別 マスコミ四媒体別広告費は添付PDFの図表7を参照)

①新聞広告費 3,815億円(前年比103.4%)
・新型コロナによる影響は継続したものの、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催、第49回衆議院議員総選挙などにより、通年では増加となった。
・業種別では、巣ごもり・在宅需要を背景に「化粧品・トイレタリー」は前年比112.0%となり、特に通販系化粧品が増加した。「流通・小売業」も通信販売が増加し、同107.8%となった。「交通・レジャー」は、旅行・宿泊関連の減少が見られたものの、レジャー施設・興行関連が増加し、同100.3%となった。「情報・通信」は前年の出稿増による反動減で、同96.3%となったものの、ウェビナー、リモートワーク関連、オンラインショップ(EC関連)などの需要は拡大傾向が続いた。

②雑誌広告費 1,224億円(前年比100.1%)
・紙の出版物推定販売金額は、前年比98.7%と17年連続のマイナスとなったが、その減少幅は2020年同様に小さかった。内訳は、書籍が同102.1%、雑誌が同94.6%。一方、電子出版市場は同118.6%と引き続き大きく伸長した。コミック誌では"縦スクロールコミック ※ "スポットの定義 がさらに浸透し、新たなターゲット層を取り込むことで、同120.3%と大きく成長した。なお、紙と電子出版を合わせた出版市場全体は同103.6%となり、3年連続で前年を上回った。(数字出典:出版月報2022年1月号)
・雑誌広告費は、1-3月期は広告宣伝費が落ち込んだが、4-6月期以降は徐々に回復し、通年では前年比100.1%となった。
・業種別では、「家電・AV機器」「案内・その他」など東京2020オリンピック・パラリンピックに関連する業種が前年対比で増加したが、雑誌広告費シェアの高い「ファッション・アクセサリー」「化粧品・トイレタリー」は前年に続き減少した。
※スマートフォンでの閲覧に特化した「縦スクロール」「オールカラー」のウェブコミック。

③ラジオ広告費 1,106億円(前年比103.8%)
・東京2020オリンピック・パラリンピックに関連した番組への出稿も寄与し、4-12月の期間では前年を上回り、通年で前年比103.8%となった。
・業種別では、巣ごもり・在宅需要もあり、「化粧品・トイレタリー」が前年比132.4%、「飲料・嗜好品」が同126.9%、SNSやアプリ、動画サブスクリプションサービスが増加した「情報・通信」が同112.9%などと大きく伸長した。

④テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)1兆8,393億円(前年比111.1%)
◇地上波テレビ 1兆7,184億円(同111.7%)
・新型コロナによる影響が前年と比較して緩和したことから、地上波テレビ広告費は1兆7,184億円(前年比111.7%)となった。
・番組(タイム)広告費は、「東京2020オリンピック・ パラリンピック」「FIFAワールドカップカタール 2022アジア2次予選」および「同 アジア最終予選」をはじめ、プロ野球、プロゴルフトーナメントなど、前年に見送られた大型スポーツ大会やイベントが、感染対策を講じた上で実施されたこともあり、大幅な出稿増となった。地域別に見ても、通期では基幹8地区全てで前年を上回った。
・スポット広告費は、前年から続く新型コロナの影響により1-3月期は低調であったが、4-6月期は、携帯キャリアの出稿が堅調な「情報・通信」に加え、スタートアップ、ヒューマンリソース領域の出稿がけん引し、好調に推移した。7-9月期には、巣ごもり・在宅需要による「飲料・嗜好品」業種の好調な出稿に加え、前年中止または延期となっていた映画作品の公開が徐々に始まり、「交通・レジャー」の出稿が復調した。10-12月期には、「情報・通信」「交通・レジャー」に加え、「外食・各種サービス」も好調となり、大幅な出稿増へとつながった。地域別に見ても、通期では基幹8地区全てで前年を大きく上回った。

◇衛星メディア関連 1,209億円(同103.1%)
・巣ごもり・在宅需要により、通販市況は好調に推移し、前年を上回った。
・前年にコロナ禍で中止となったスポーツイベントが開催されたことに伴い、放送収入が増加した。

(2)インターネット広告費

①インターネット広告媒体費 2兆1,571億円(前年比122.8%)
・新型コロナによる影響で消費の低迷と広告出稿が減少した前年からの反動で、前年比122.8%と大きく成長し、媒体費が初めて2兆円を超えた。
・緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が多くの地域で長期間適用されたことによる巣ごもり・在宅需要の継続や、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催などにより、動画配信サービスの利用者が増加し、動画広告は大きく伸長した。
・新型コロナの影響でオフライン販促施策が制限される中、大手プラットフォームが自社のポイントを活用したデジタル販促ソリューションを積極的に展開した結果、販促費の取り込みが進んだ。

マスコミ四媒体由来のデジタル広告費 1,061億円
(インターネット広告媒体費の一部、同132.1%)
・マスコミ四媒体由来のデジタル広告費は、初めて1,000億円を超え、前年に続く二桁成長となった。

・新聞デジタル 213億円(同123.1%)
前年より堅調な成長トレンドが続いた。上半期は、タイアップ記事やオンラインイベントなど予約型広告が増加したものの、運用型広告は減少した。7-9月期は、新型コロナの状況や東京2020オリンピック・パラリンピック関連ニュースのPV(ページビュー)数増に伴い、運用型広告は増加した。

・雑誌デジタル 580億円 (同130.0%)
雑誌由来の広告費が広告売上の過半を占める出版社もあった。引き続き主要ウェブメディアのPV/UU(ユニークユーザー)数、主要SNSの媒体アカウントなどは伸長した。ウェビナー企画やオンラインイベント、広告主のオウンドコンテンツ制作、動画制作・配信など、出版編集のコンテンツ制作力やコミュニティへの集客力を強みとした広告企画が定着し、出版系ウェブメディアおよび雑誌ブランド・コンテンツ事業の成長を後押しした。ファン・コミュニティの事業化、コミック事業の拡大、XR(クロスリアリティ) ※1 およびメタバース ※2 領域、NFT(非代替性トークン)を活用した価値の高いコンテンツの取引など、「出版IP(知的財産)」を駆使した様々な研究開発が進んでいる。
※1 現実世界と仮想世界を融合することで、現実にはないものを知覚できる技術の総称。
※2 インターネット上に広がる三次元の仮想空間やサービスのこと。

・ラジオデジタル 14億円 (同127.3%)
Podcastをはじめとする音声メディアが引き続き注目を集め、radikoも含むラジオデジタルへ新規出稿と継続出稿が増加した。また、Spotifyユーザーにも接触するプレミアムオーディオ広告も好調に推移した。

・テレビメディアデジタル 254億円(同146.8%)
テレビメディアデジタルのうち、「テレビメディア関連動画広告」は249億円(前年比146.5%)と、前年に続いて急成長した。TVerは、再生数・ユーザー数ともに順調に伸長しており、コネクテッドTVなどテレビ受像機での視聴も拡大している。

②「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」 1,631億円(前年比123.5%)
・前年に続き、コロナ禍に伴う外出自粛により、生活者の身近な購買チャネルとしての物販系ECプラットフォームの利用が進み、高い成長率となった。
・在宅勤務や教育機関の休校・休園の影響もあり、日用品や食料品、生活家電だけでなく、生活必需品以外(衣類や書籍、おもちゃなど)の流通量も伸長した。
・特定の経済圏では、ポイント還元やディスカウントなどの生活者メリットによる購買行動が進んだことも物販系ECプラットフォーム広告費の成長を支えた。

③インターネット広告制作費 3,850億円(前年比113.2%)
・新型コロナの影響により冷え込んでいた生活者の消費マインドの回復と、オンライン消費スタイルの定着、また、企業のDX化が一層加速したことなどにより、インターネット広告の制作需要が拡大した。
・制作物の種類で状況を見ると、動画広告の伸長が顕著であった。動画広告にはブランドムービーからSNSでのバズ動画までさまざまな種類のものがあるが、中でもブランドムービーをはじめとするリッチコンテンツ ※ が大きく増加した。
※音声や音楽、動画、アニメーションなど、動的な要素を含むコンテンツ、制作物。ここでは、高品質な動画を指す。

(3)プロモーションメディア広告費

①屋外広告 2,740億円(前年比100.9%)
・緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除に伴い、外出自粛が緩和され人流が回復した。出稿控えも全体的に和らぎ、ファッション・医療・エンターテインメントなどの業種を中心に広告需要が回復した。
・長期看板は、繁華街に設置された大型媒体では需要があったが、それ以外の媒体では鈍い状況が続いた。
・短期看板や短期ネットワーク看板、屋外ビジョンは、繁華街において大型で目立つインパクト型OOH媒体 ※ に需要が集中し、増加した。特に、3Dコンテンツ放映が話題となった。
※大型サイネージ、大型ボード。

②交通広告 1,346億円(前年比85.8%)
・鉄道は、ポスター、デジタルサイネージともに、ネットワーク系媒体※よりも主要駅で人流が多いロケーションに設定された大型で目立つインパクト型OOH媒体に需要が集中した。駅構内は、全体的に減少したものの、全国的に大型デジタルサイネージは前年を上回った。車両内は、人流の減少に伴い、通常だと年間出稿の需要が多いステッカーは大きく減少したが、キャンペーンに合わせたスポット出稿は増加した。
・空港は、外国人入国制限により旅客数が回復しなかったこともあり、国際線は前年より減少した。国内線は、緊急事態宣言等に伴う移動制限が解除されてからは、わずかに回復した。
・東京2020オリンピック・パラリンピックは主に無観客開催となったものの、主要駅、競技場最寄り駅では出稿があった。
・業種別では前年同様、飲料系は減少しているものの、ゲーム、美容、SNS動画配信、クラウドサービス、デリバリー系は堅調だった。
・タクシー広告は、サイネージ搭載車の増加もあり、ラッピング広告を含め前年に続き増加した。
※全線中づり、主要駅の駅サイネージネットワーク、主要駅の駅ばりネットワーク。

③折込 2,631億円(前年比104.2%)
・新型コロナの影響があったものの、巣ごもり・在宅需要を後押しする媒体として活用され、主要都市圏を中心に増加し、前年を上回った。
・業種別では、スーパーやホームセンター、家電量販店を含む流通・小売による販促利用が回復した。サービス業も飲食・旅行・遊戯関連の出稿は減少が続いたものの、出前や食材宅配サービスでは増加、また買い取り事業者が好調だったことで、全体では増加した。その他、通販系の健康食品・化粧品が増加し、金融・保険に関しては大幅増となった。一方、教育・教養、不動産は新型コロナの影響とDXの加速もあり、それぞれ減少した。

④DM(ダイレクト・メール) 3,446億円(前年比104.7%)
・新型コロナの影響が大きかった前年から回復し、増加した。
・リモートワークの普及とリアルでの対面営業が難しくなったことを受け、保険営業などを中心にDMを積極活用するケースが増加した。また、デジタルマーケティングと連動したパーソナライズDMもさらに広く活用された。
・インターネット広告だけではカバーすることが難しいターゲット向けに、無宛名便DMの活用が増加し、そのDM市場が拡大した。

⑤フリーペーパー ※ 1,442億円(前年比93.7%)
・前年に続き、新型コロナの影響や、一部発行紙の休刊、エリア統合、発行号の削減などを受け、前年比93.7%となった。特に駅などに設置するタイプは前年に続き減少した。一方で、第49回衆議院議員総選挙関連や新聞社発行のフリーペーパーは好調だった。
・地域情報を主体としたフリーペーパーでは、地域の広告主や自治体に対し、編集力やコンテンツ力などを生かしたウェブサイト編集、オンライン販促施策、動画制作などのサービス提供の動きも見られた。
※フリーペーパーは、タブロイド判タイプのフリーペーパー・雑誌タイプのフリーマガジン・電話帳の総称。

⑥POP 1,573億円(前年比94.9%)
・前年に続き各種集客イベントや店頭販促プロモーションが自粛となり、メーカー販促ツールの導入も見送られるなど、POP(店頭販促物)の減少につながった。
・一方で、店頭DX施策 ※ が数多く行われた。リアルな場での貴重な接点となる店頭では、さらなる顧客体験を高める手法として、デジタルサイネージの導入や、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を活用したPOPも見られた。
※タッチ&トライデータ、購買導線データ、AIカメラ等による視聴者数・属性調査など、データ取得や分析についての試み。

⑦イベント・展示・映像ほか 3,230億円(前年比93.0%)
・コロナ禍による影響が継続し、前年を大幅に下回った。
・「東京モーターショー」や「東京マラソン2021」の中止・延期などがあったものの、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されたこともあり、イベント領域は1,372億円(前年比126.0%)と増加した。
・展示領域では、文化施設や百貨店、オフィスの改装需要などが増加したものの、複合型商業施設、企業PR施設、テーマパークなどのエンターテインメント施設は、感染拡大に伴う経済活動の停滞により計画の見直しや集客関連の設備投資抑制を受け、大きく減少した。
・映像関連は、オンライン展示会やウェブ講演会・セミナーなどに付随する配信動画、商品サービス紹介などの制作需要が増大した。
・シネアド(シネマ・アドバタイジング)は、上半期は緊急事態宣言による休館などで低迷したが、下半期にはラグジュアリーブランドなどの需要が急回復した。

<業種別広告費(衛星メディア関連を除くマスコミ四媒体のみ)について>(添付PDFの図表6を参照)
「情報・通信」「精密機器・事務用品」「飲料・嗜好品」「家電・AV機器」「案内・その他」など16業種が増加。

<「インターネット広告媒体費」の内訳について>
株式会社CARTA COMMUNICATIONS、株式会社D2C、株式会社電通、株式会社電通デジタルの4社共同で、広告種別や取引手法別などの切り口で分析した「2021年 インターネット広告媒体費詳細分析」を3月上旬発表予定。

起業から業務スキルまで、合計100時間以上の学習プログラム 自由に学べる「coin space アカデミア」9月中旬~提供開始


不動産の新しい価値づくりを目指す、株式会社高木ビル(本社:東京都港区西新橋 代表取締役社長 高木秀邦)と、「個人をエンパワーメントする」ことをビジョンに、全国で34店舗の時間料金制ワーキングスペースを運営するコインスペース株式会社 (東京都渋谷区道玄坂 代表取締役 栗原知也) は、新たに共創プロジェクトとして、高木ビルがBIRTH事業として展開する経営道場「BIRTH ACADEMIA」をコインスペースのユーザー向けにカスタマイズし、「coin space アカデミア(コインスペース・アカデミア)」として提供いたします。


想いを起点に挑戦する人へ向けた共創活動


従来の不動産の概念を超え、ライフクリエーションブランドとして深化する高木ビルのBIRTH事業。コワーキングオフィスとしてスタートした「BIRTH」は、“仕事をする場所”という定義から、人とひとのつながり、そして人と暮らしのグラデーションを生む場所へ歩みを進めています。不動産というハード面と、ビル経営の想いや理念といったソフト面の両輪で培ってきた高木ビルの“寄り添う・伴走する”というマインドは、想いを起点に挑戦する人のための経営道場「BIRTH ACADEMIA」にも活かされています。
これまでコインスペースでは、誰でも気軽に使えるワーキングスペースを提供してきました。その中で、既存ユーザーの利用傾向として、資格取得やスキルアップのための学習を目的に利用する方が多いこと、また、女性起業家向けのワークショップやドローン教室をスポット開催する中で、学習コンテンツが求められていることがわかりました。
“利用者へ思い切り挑戦できる環境を提供したい“この想いと、高木ビルのマインド、ソフト面のソリューションがはしご掛けさ れ、「coin space アカデミア」という共創プロジェクトが始動することとなりました。


変化の激しい時代に注目を集めるリカレント教育

スポットの定義
coin space アカデミア について

合計100時間分のコンテンツから自分に合った講座を選択可能
高木ビルの「BIRTH ACADEMIA(バース・アカデミア)」が展開する経営者向けの学習プログラムをコインススペースのユーザー向けにカスタマイズ。キャリアビジョンの策定、セルフブランディング、個人サービス強化の戦略、外部と協業する際のチームビルディングなど、合計100時間以上のテーマの中から、自由に閲覧できる学習コンテンツをオンライン動画配信にて提供します。

【提供する講座内容】 ※一部抜粋
□ フリーランス・自営業者向け
マーケティング講座、講師養成講座、セルフブランディング講座


「coin space アカデミア」プロジェクト発表会を開催しました

学歴ではなく、学習歴を繋げていくステップアップのインフラにしたい。
コインスペース株式会社 代表取締役 栗原 和也


「コインスペースは、気軽に何かを取り組める場所をコンセプトに運営しているため、coin space アカデミアは気軽に学べるきっかけとなる場所にしたいです。最初はユーザーの中でも、個人起業家を中心に、BIRTH ACADEMIAの起業家向け学習プログラムを応用して提供し、さらに、コインスペース全店舗で見ると、テレワーカーや学生など、多様な母集団が形成できるため、社内でのキャリアアップ、就職活動や転職活動、受験勉強中の方向けの切り口でも講座を作っていきたいと考えています。」


学びのハードルを下げて、人生の歩み方を考えるきっかけづくりに。
株式会社 高木ビル 代表取締役社長 高木 秀邦

「コインスペースの学習コンテンツを強化したいという想いと、私たちが昨年立ち上げたBIRTH ACADEMIAをもっといろんな人に伝えたいという、両社の想いが交差して、共創プロジェクトは始まりました。職歴のようなキャリアではなく、人生の歩み方を見つけられるきっかけとして、学びを重く考えず、本屋で立ち読みをする感覚で、coin space アカデミアを活用して欲しいと思っています。」

コインスペースについて

● ワンコインから気軽に使える時間料金制のワーキングスペース
● スポットの定義 会員登録不要(QRコードによる簡単チェックイン&チェックアウト)
● 全国の主要商業施設内に出店、34店舗体制(2022年4月末現在)
● ニューノーマルに適合した無人運営の非接触型タイプ

会社概要

BIRTH事業について


BIRTHは1°でも人生を良い方向へ歩もうと挑戦している人のために、LIFE TERMINALをコンセプトに、地域、環境、教育などとの繋がりを生み、不動産の未来を探求するライフクリエーションブランドです。
https://birth-village.com/
神田の地から始まり、麻布十番を中心に共に成長しあえる・新しい価値をつくる、というところからスタートしたBIRTH事業。昨今の働き方の多様化によって、「ただ仕事をする場所」という定義から人のつながりを生む場所として深化してきました。

BIRTH LAB
コミュニケーション特化のシェアセッションスペース。人とひとの新しいつながりを生み出すコミュニケーションをBIRTH LABでは“セッション”と呼びます。

BIRTH ACADEMIA
想いを起点に挑戦する起業家のための経営道場。起業する前の人、起業後に伸び悩んでいる人、やりたいことに着手できていない人などに門を開き、ビジョンの明確化、事業計画・戦略、マーケティング、人事、財務など一気通貫で指導。受講者の想いをビジネスを通じて実現するよう伴走していきます。

BIRTH IN-RESIDENCE
仕事と生活の調和ではなく、「住むオフィス」×「働く住まい」のように生活の中にあたりまえのように仕事がある、そんな生活を過ごせるマンションです。

BIRTH DINING by plein
BIRTH IN-RESIDENCEの1階フロアに麻布十番のネオ食堂として展開中。「不動産」と「飲食」の企業が協業する新たな収益モデルを体現しています。

スポットの定義

ここ10年の間で、低分子・高分子の間の化合物の分類として 中分子 という言葉が台頭してきました。一大 創薬モダリティ スポットの定義 の一つとして既に耳馴染みの方も多いかと思いますが、本記事では言葉の整理がてらに中分子創薬について簡便に解説します。

中分子の定義

どこからが中分子とするか、学会などにより明確に定義された例はありません。ただし分子量で分類する場合、M.W. 500 未満を低分子、それ以上で、ある程度の分子量までが中分子とされる場合が多いです。低分子ではリピンスキーの「ルール・オブ・ファイブ」が経口吸収性を担保する一つの指標とされますが、中分子は基本的にそのルールには当てはまりません。分子量の上限に関しては現在でも特に曖昧で、おおよそ 15 万程度の分子量を持つといわれる抗体医薬は高分子に分類されますが、15,000 程度の分子量を有する核酸医薬は主に中分子に分類されます。上限に関しては、分子量よりもペプチド核酸などのモダリティに属しているかどうかで判別されることが多いようです。ただ、多くは分子量 500-5,000 (2000 とする総説もあり) 程度の分子が中分子と分類されています。

タンパク質間相互作用と中分子

中分子の標的として重要なのが タンパク質間相互作用 (protein-protein interaction; PPI) です。生体内のタンパク質は複雑なネットワークを構築しており、数種のタンパク質が相互作用することにより生理機能を発揮する場合が多数見られます。そのタンパク質どうしの相互作用面積は一般的な低分子薬よりも大きく、従来の創薬手法では標的とするのが困難であるとされてきました。しかし、分子量の比較的大きい中分子が PPI 阻害に適していることが判明し、PPI 阻害剤としての中分子創薬はそれ以降飛躍的に発展しました。

創薬化学上の中分子の利点

中分子が PPI 阻害に適しているのは単に分子量が大きいからだけでなく、創薬化学上のさまざまな利点があるためだと言われています。低分子、中分子、高分子それぞれのモダリティの特徴をに示します。

スポットの定義 スポットの定義
低分子 中分子 高分子
分子量 500-20,000 10000 スポットの定義
経口吸収性 不可
膜透過性 付加
PPI標的可能性 不可
標的分子への特異性
化学合成の可否 不可
コスト

表からも読み取れるように、中分子は分子量以外にも低分子と高分子の間の特徴を多く持っています。開発時の大きな問題である薬物動態に関しては、場合によっては経口吸収が可能で膜透過性も悪くない (構造にもよりますが)、という点が中分子の売りになります。また低分子では困難な PPI を標的にでき、オフターゲット効果 (標的以外の分子への影響) を抑えやすいという利点もあります。また中分子は低分子と同様、基本的には化学合成が可能な範囲内の分子量・構造を有し、抗体医薬などの高分子に比べて開発・製造コストを抑えられることも利点になります。

中分子医薬の例

臨床応用されている中分子の例として挙げられることが多いのが、大環状ペプチド化合物である シクロスポリン です。

シクロスポリンAやポリミキシンBなどは特殊ペプチドとも呼ばれ、構造中に D -アラニンなどの変わったアミノ酸を含むのが特徴です。これにより、生体内に存在するタンパク質分解酵素の影響を受けにくくなっており、経口投与でも良好な薬物動態を示します。特殊ペプチドに関しては別記事に詳しい解説がありますので、そちらをご参照ください (参考記事: 特殊ペプチド Specialty Peptide)

核酸医薬は一般に「核酸あるいは修飾核酸が十数〜数十塩基連結したオリゴ核酸で構成され、タンパク質に翻訳されることなく直接生体に作用するもので、化学合成により製造される医薬品」とされ、 アンチセンスオリゴヌクレオチド 、 siRNA 、 アプタマー 、 デコイ核酸 、 CpGオリゴ などが挙げられます。アンチセンスオリゴヌクレオチドには脊髄性筋萎縮症治療薬であるヌシネルセン (スピンラザ ® ) が、siRNAにはトランスサイレチン型アミロイドーシス治療薬であるパチシランナトリウム (オンパットロ ® ) が既承認薬としてあります。その他、核酸医薬は国内外で多くの承認薬があり、中分子医薬の中でも開発が進んでいるモダリティとなります。承認された核酸医薬品の表を以下に引用します。

出典: 国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子医薬部ホームページ

核酸医薬のもう一つの特徴は、表からも読み取れる通り、遺伝性の難病治療薬として有望ということです、どうしてもコストは高くなってしまう傾向にあります (スピンラザ ® 髄注12mg」承認時の 1 バイアルあたりの薬価は 9,320,424 円) が、他に掛け替えのない医薬品と言えるでしょう。ただ核酸医薬は中分子医薬の利点として挙げた経口吸収性や膜透過性が悪く、今のところ注射剤としての使用しかできないという欠点もあります。核酸という分子自体の性質からは脱却できないため、経口吸収性を含めた体内動態を改善する DDS などの製剤技術がより幅広い応用の鍵を握っています。

天然物も代表的な中分子の一群であり、先に挙げた大環状ペプチドのシクロスポリンや、ペプチドではありませんがシクロスポリンと同様に大環状構造を持ち免疫系に作用するマクロライド化合物のタクロリムスやラパマイシンなどが挙げられます。また抗がん剤のパクリタキセルやエリブリンも天然物由来の中分子医薬品に分類されることがあります。天然物創薬は一時下火になってきている扱いを受けることも多くありましたが、天然物の作用機序にも PPI を阻害するものが多くあり、再興モダリティとしてその価値が見直されてきています。

公的に利用できる中分子化合物ライブラリ

日本医療研究開発機構 (AMED) を中心に、アカデミアなどの公的機関でも利用可能な中分子化合物ライブラリの整備が進められています。まさに中分子創薬の発展はは国策の一つに位置付けられていると言えるでしょう。

誰も意見を出さない“お通夜”ミーティングを変えるには?
「最初の問いかけ」の工夫で高まる、 チームの心理的安全性

『問いかけの作法』『心理的安全性のつくりかた』 合同トークイベント「生産的なチームは何をしているか」 #2/7

二子玉川 蔦屋家電にて、『問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術』著者の安斎勇樹氏と 『心理的安全性のつくりかた』石井遼介氏が合同トークイベントを行いました。成果の出るチームの共通点として、注目を集める「心理的安全性」。本イベントでは、「問いかけ」などのコミュニケーションと心理的安全性の相互作用について、「生産的なチーム」がしていることについて議論されました。本記事では、安斎氏より「心理的安全性」と「問いかけ」の関係性が語られました。

会社の問題とズレている“ハズレの研修”

石井遼介氏(以下、石井):では安斎さん、よろしくお願いします。

安斎勇樹氏(以下、安斎):はい。先ほども冒頭でご説明した通り、『問いかけの作法』は石井さんの本(『心理的安全性のつくりかた』)がベストセラーになってから、そのブームに乗っかっていくかたちで出しました(笑)。

石井:いえいえ(笑)。

安斎:僕がどんな問題意識でこの本を書いたのか、少し概要とともにお話しさせていただければと思います。

石井:(笑)。

解くべき本質の「Why」と、明日の現実の「How」

安斎:やっぱりいくら処方箋が良くて、特定の場面では効果的なお薬でも、症状の診察が間違ったまま解決策を実施すると、なかなか物事はうまくいかないわけですね。

石井:(笑)。

安斎:「やっぱり本質も大事だけれど、明日の現実のHowも大事だよね」という時に、上流は大事なんだけれども、明日の1on1、定例ミーティングでどうやって問いを投げかければいいのか、ということにスポットライトを極限に振って書いた本が、『問いかけの作法』です。

石井:今日から、明日から使える。

安斎:そうですね。即効性をより意識した本です。

お願いや説教でも変わらない、お通夜のようなミーティング

安斎:その中でも、よくこの本が響いている場面があります。最近もしかしたらみなさんの会社でも見聞きしたことがあるかもしれません。

特にZoomとかTeamsのオンラインミーティングが増えてきてよく耳にするようになったのが、「ミーティングがまるでお通夜のようだ」ということです。ZoomとかTeamsで、ファシリテーターとかリーダーが「みなさんどうですか? いかがでしょう? ほら、自由に」と言うんだけれども誰も意見しない。

石井:(笑)。

安斎:活発な意見どころか、誰も画面や音声のミュートを切ってくれず、本当に真っ暗な中でずっと投げかけ続けていることがあって、一切意見が出ない。まさに心理的安全性が低い状態です。誰からもリアクションがない。

「孤軍奮闘の悪循環」は、最初の問いかけの工夫で変わる

安斎:現実が変わらないとすると、結局「こいつらに頼るよりも自分でがんばったほうが早い」となって、優秀なプレイングマネージャーほど孤立無援になります。僕はこれを「孤軍奮闘の悪循環」と呼んでいます。

「問いかけ」で高める心理的安全性のシナリオ

安斎:僕は『心理的安全性のつくりかた』を名著中の名著だと思っていて、本当に日本企業の2020年代の一大ムーブメントというか、歴史を変えた一冊になっているんじゃないかなと思います。

石井:(笑)。

安斎:「うちの会社がクソな理由、よくわかったわ」「なるほどな」となると、人は安心して「意見が出ないのは心理的安全性が低いからだわ」「心理的安全性が上がれば意見が出るに違いない。誰か上げてくれないかな」と、他責的になるのではないかと懸念していて。

こだわりを問い直すことが、イノベーションの本質でもある

安斎:そんなかたちでこの本を書いたわけで、今日はその詳細はお話ししませんけれども、1つ、この本の中で伝えたいメッセージとしては、チームはやっぱりポテンシャル、まだ発揮されていないポテンシャルです。

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