為替TARFの取り組み事例
TARFとは「Target Redemption Forward」の略称で、為替TARFは日本語で言うとターゲット条項付為替予約あるいは早期終了目標設定型フォワード取引等と呼ばれます。為替デリバティブの一種で、消滅条件付のフラット型の為替予約(ノックアウト・フォワード)と比較するとレンジ相場において有利なレートで為替予約を締結できると言われております。近年では地方銀行様が取引先の企業の為替リスクヘッジのための商品として提供されるケースが増えてきております。
- Full型:累積が目標に到達した回において決済が発生。 通貨オプションの使い方や意味
- None型:累積が目標に到達した回では決済は発生しない。
- Exact型: 累積が目標に達した回で 累積収益がちょうど累積目標分相当になるように決済。
この他にも、累積収益ではなく収益が発生した決済回数を目標とする回数判定型(Digital)TARF、トリガー条件を付与し為替レートがストライクとトリガーの間の場合はポジションが出来ないEKI(European Knock-In)TARF、損失が一定額(あるいは回数)に達すると早期終了するLoss Cap付のTARF等様々なバリエーションが存在します。
TARF商品を取り扱うための課題
TARFのシステム対応事例
こうした背景を踏まえ、システム対応のコストや開発期間の短縮化さらにお客様の事務の効率化を目的として、為替デリバティブ評価の分野において豊富な実績を持つFENICS Software社(以下FENICS社)とアライアンスを結び、弊社市場系パッケージPrélude Enterprise(プレリュードエンタープライズ)とのデータ連携機能の提供を進めております。FENICS社が提供するサービスはプレーンなものからエキゾチックなものまで70種類以上の為替デリバティブに対応しております。取引管理、プライシング、時価評価、リスク分析、評価レート配信機能が強みであり、国内でも多くの金融機関が採用しております。
具体的には、FENICS社システムでTARFを含めた様々な為替デリバティブの取引管理、時価評価を行い、バックシステムであるPrélude Enterpriseへデータ連携を行います。これにより、約定管理、時価評価、期日管理、決済為替の管理、会計処理、CSA担保管理、関連システムへのインターフェース処理等、フロントオフィスからバックオフィスまでの一連の業務に対応いたしました。Prélude Enterpriseの対応をバックオフィス周辺に集中させたことで、コストや開発期間を大幅に圧縮することが出来たと考えております。弊社は当該機能をパッケージ標準の「FENICS連携モジュール」として整備を行っており、他金融機関様の実績に基づいた業務フローをセットにして各金融機関様へご提案、提供を進めております。
高金利通貨に潜むワナとは? - 知らないと損をするマクロ経済の話(平田 啓さんコラム - 第1回)
図1は、BIS(国際決済銀行<Bank for International Settlements>)のTriennial Survey(3年に1度公表する報告書)最新版(2019年度版)のデータから、筆者が作成したものです。これによると、世界で取引されている通貨TOP3は、(1)米ドル(44.15%)、(2)ユーロ(16.15%)、(3)日本円(8.4%)です。これは各国通貨が持つ、信用力のランキングでもあります。つまり、米ドルへの信用力が圧倒的です。だから、第二次世界大戦後は唯一の基軸通貨であり続けることができています。ユーロはヨーロッパの複数国が使用する通貨なので、一国の通貨としては、日本円は米ドルに次いで、2番目に信用力が高いということになっています。
資料:BIS(国際決済銀行<Bank for International Settlements>)「Triennial Survey(3年に1度公表する報告書)最新版(2019年度版)」のデータより筆者が作成
(1)信用力が世界で最も高い
(2)流動性がある(いつでも換金・売買など取引ができる)
(3)海外での利便性(出張・旅行先での利用)
(4)米国経済の成長性(先進国で唯一30年後も成長していると予測されている)
(5)情報が豊富
資料:BIS(国際決済銀行<Bank for International Settlements>)「Triennial Survey(3年に1度公表する報告書)最新版(2019年度版)」のデータより筆者が作成
図3 クロス円 比較(2010年10月~2021年3月)
こういう時に、一番注意が必要です!
PROFILE
1968年生まれ。1995年、外資系金融を経てNYウォール街にあるB.C.M.Gよりヘッドハントされ渡米。2000年、現三菱UFJ銀行にて通貨オプションディーラーとして高度な金融デリバティブ商品を数多く手掛け、同年ブルームバーグL.P.にてFX(外国為替)市場分析ツール開発兼営業に従事。2005年、株式会社Lavocを設立し代表取締役に就任後、 関西大学大学院講師 なども歴任。著書に『FX取引入門』(日経文庫)ほか。
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