1.上昇トレンド
上昇相場におけるトレンドラインの引き方は、最初のボトムと、次のボトムを結んだ線を延長するだけでよいというのが通説です。結果的に多少はみ出すこともありますが、概ねその線に沿った相場展開がなされます。
よく、下値支持線と同時に、上値抵抗線を引くことがありますが、上昇相場の場合、上値が伸びることは散見されますし、上昇トレンドで上昇し過ぎることを悩んでも仕方がありません。
基本的には上昇トレンドを捉えたら、下値支持線の近くで買いポジションを作るということがトレードする上ではとても重要です。
また、こうして描いた下値支持線を割りこんできたところが、上昇トレンドの終焉を表しています。
このチャート例に限らず、大きく長い上昇トレンドの下値支持線を割りこんできた場合、そこから雪崩のように下落するケースが多いように思います。
多くの投資家がトレンドラインを気にしている1つの証拠であるのかもしれません。
2.下降トレンド
下降トレンドの場合のトレンドラインの引き方としては、上昇トレンドとは逆に上値抵抗線を中心に考えます。
最初のトップと、次のトップを結んだ線がその下降トレンドの上値抵抗線ということになります。
赤い線が上値抵抗線、チャートの形状がちょうど下値をサポートするように引けることから、グレーの下値支持線も追加して描画してあります。
(C)ゴールデン・チャート社 GC HELLO TREND MASTER(R)
(C)ゴールデン・チャート社 GC HELLO TREND MASTER(R)
実践編-上昇トレンド中の迷い
下のチャートはドル円の日足です。
ボリンジャーバンドも描画してありますが、相場そのものが描く一定幅のレンジと、およそ半年間にわたる下落トレンドぶりが、ハッキリと認識できます。明確な抵抗線とそれによる反発が厳密にとれるわけではありませんが、おおよその帯域が存在することは否定できません。
レンジのほぼ加減に達しつつある現在値が、このあとレンジを守りながら緩やかに反発するか、それともレンジブレイクして新たなトレンドを築くか、ちょうどその分岐点にあります。
サポートラインを信じるのであれば、ここでは買いを意識することになります。
実践編-20円幅のレンジ
ドル円の週足チャートに、21週移動平均線と±1σ、±2σのボリンジャーバンド、そしてレジスタンスライン、サポートラインを描画してみました。
下落トレンドの最中にあるドル円ですが、まだまだ底には遠い位置にあることがわかります。
このチャートからは80円割れすらもあり得ることが伝わってきます。2009年はなんとかレジスタンスラインをブレイクしようと試みながらも、市場原理に逆らうことができず、結局レンジの中で下落を余儀なくされているかのようにも映ります。
実践編-縮尺の異なる地図
上はドル円の週足チャートです。
結局、サブプライムショック以降の大きなトレンドの中にいることがよくわかるチャートです。その中にあって、今は高い位置なのか低い位置なのかを測ることができれば、日足での投資戦略にも有効な指針が与えられるケースがあります。
下のチャートはドル円の日足です。
5.トレンド
トレンドは相場の基調、つまり大勢の思惑を映し出す。上昇トレンドは、買いが有利だと見て、その流れに乗ろうとする投資家が多いことの表れである。下降トレンドはその逆で、売り方優勢の状況を示すものである。トレンドを確かめるには、ローソク足のチャート上にトレンドライン(傾向線)を引いてみればよい。その引き方は、図5-1-Aのように上昇開始時(もしくは上昇開始直後)の安値と次の押し目を直線で結ぶ。これを 上昇トレンドライン と言う。しだいに安値が切り上がっていくことが示されている。
下降トレンドライン 上昇トレンドを捉えるポイント は高値と高値を結ぶ線(図5-1-B)で、上値が徐々に切り下がってくることを示す。なお、上昇トレンドラインは支持線が右肩上がりの形に変形し、下降トレンドラインは抵抗線が右肩下がりの形に変形したものと捉えればよい。つまり、上げ相場における 押し目 のめどは上昇トレンドラインに日足が抵触する地点となる。また、下降局面における 戻り の限界のめどとなるのは、下降トレンドラインに日足が抵触する地点である。
曲線トレンド
トレンドは直線になるとは限らない。値上がりにつれて押しがしだいに浅くなってくると図5-4のような曲線のトレンドを描くこともある。ただし、 曲線トレンド は図からも分かるように、大相場の中盤から終盤にかけてその形が明らかになるので、序盤からこのトレンドに乗っていた人はともかく、この形を確認した後で便乗しようとするのは考えもの。相応の急反落を覚悟しておく必要がある。
では、下降曲線トレンドラインが現れると底入れが近いかと言うと、一概にそうとは言い切れないのが相場の不思議なところ。下げ過ぎの反動から、ある程度の自律反発につながることは多いが、一気に高値を奪回するということは滅多に見られない。古くから 天井3日、底100日 と言われている。底入れ完了となるには、期間を要するのが一般的である。
扇形トレンド
- (1)下げ相場にピリオドを打ち、押し目をつけながら上がり始めた。ここで、上昇トレンドラインAを引いてみる。
- (2)相場が急反落し、トレンドラインAを下回ってしまった。ズルズルと下げるのかと思われたが、まもなく下げ止まり反騰を始めたので、改めてトレンドラインBを引く。
- (3)再び下げ始め、トレンドラインBを下回った。しかし、今回も下げ止まって反発したので3本めのトレンドラインCを引いてみる。
さて、3本めのトレンドラインCを引いてみたときの形だが、Xを基点とした扇のような形になるので、これを 扇形トレンドライン と呼ぶ。ここで注意しなければならないのは、3本めのトレンドラインを下抜いた場合。もはや上げ相場は終了し、下げの基調に入ったと見なすべきである。
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